遺言

「遺言」とは、自分自身が亡くなった後の残された財産の処分方法などを定めることの出来る法技術です。

どんな人が遺言をするの?

誰が財産を引き継ぐのか? <相続人の確定>

昔は財産が相当額ある方が、相続人間の紛争を予防するために、その財産の分配方法を定めるケースや、事業を営んでいる方が、事業を継承する方に事業用資産を相続させるためといったケースが中心でした。

しかし、最近はごく一般的な財産(居住用不動産や預貯金など)しか所有していない方々も遺言をするようになってきています。これは、相続財産を巡る争いが幅広い層の方々に生じるようになってきたため、それを予防したいといった意識が高まってきた表れと考えられます。

例えば、今ご夫婦で住んでいる純粋な居住用の財産でさえ、残された配偶者とその他の親族との「争族」の火種となりかねないのです。

また、「介護をしてくれた娘に少しでも多く相続させたい。」ですとか、「よく世話をしてくれたが相続の権利はないお嫁さんに財産を残したい。」など『遺言者の気持ちを残す』手段としても活用できます。

遺言は、いまや身近な存在となり、全ての方にとって重要なものとなってきているのです。
加えて、同順位の相続人が複数いる場合は、それらの相続人間で均等に分割されることになります。

遺言の方式

 遺言は、民法で定められた方式に従わなければすることができません。では、どんな方式があるのでしょうか?

自筆証書遺言

これは、遺言をしたい方が、遺言書の全文・日付・氏名を自署し、これに押印することによって成立する遺言です。

メリットは、

  • 費用や証人・立会人が不要である。
  • 簡単で利用しやすい。

デメリットは、

  • 遺言書の真偽の証明が難しく、かえって紛争が生じかねない面がある。
  • 相続手続の際に検認が必要となり、残された相続人に手間がかかる。

といった点です。

公正証書遺言

これは、2人以上の証人の立会いの下、遺言をしたい人が公的立場にある公証人に遺言の趣旨を伝え、公証人がそれを筆記して遺言者と証人に読み聞かせるなどして遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後に、各自がこれに署名押印し、公証人が方式に従って作成された旨を付記して署名押印することによって成立する遺言です。

しかし、それぞれの事情にあった引き継ぎ方を細かく決めることが理想ですし、そう希望される方も多いでしょう。例えば、不動産は奥様・預貯金はご子息にといった感じです。これを「遺産分割協議」と言います。

メリットは、

  • 公証人と証人が関係することによって、遺言の存在と内容が明確である。
  • 病気や事故等によって字が書けなくなった人でも、遺言をすることができる。
  • 検認が不要な為、スムーズな相続手続きができる。

デメリットは、

  • 手続きが複雑であり、費用と手間がかかる。
  • 遺言の存在・内容を遺言者だけの秘密にしたい場合は、利用できない。

といった点です。

秘密証書遺言

遺言したい方が自署等で作成した遺言書に署名捺印し、それを封筒に入れるなどして遺言書に捺印した印章で封印し、公証人及び証人2人以上の前にその封書を提出し、自己の遺言書である旨等を申し述べた後、公証人が日付と申述内容を封書の表に記載し、遺言者・証人・公証人の各人が署名押印することで成立する遺言です。

メリットは、

  • 遺言の内容を秘密にしておくことができる。

デメリットは、

  • 手続きが複雑であり、費用と手間がかかる。
  • 遺言成立の要件が厳しく、内容を確認できる人がいない為、要件を満たさず無効になってしまう危険性がある。
  • 相続手続の際に検認が必要となり、残された相続人に手間がかかる。

といった点です。

遺言の実現

遺言は、遺言者の自由な最終意思を確保するためのものと言っても、無制限ではありません。
また、せっかく残した遺言もその内容を実現させることができなければ、まさに「絵に描いた餅」となってしまいます。

こういった遺言の内容を実現させるために、遺言者の亡くなった後に働く人のことを、「遺言執行者」と言います。

このように、遺言の内容が法的に問題無いか確認することと、確実に遺言が執行されるように事前に手当しておくことが重要と言えます。

当事務所の特徴

当事務所では、以上のようなそれぞれの場面において、専門家として次のようなお手伝いを致します。

  • 遺言書の原案の作成、アドバイス
  • 公正証書遺言、秘密証書遺言の手続き
  • 公正証書遺言、秘密証書遺言の証人及びその手配
  • 遺言の執行
  • その他、遺言に関する各種相談・アドバイス
    <状況に応じて、税理士など各種専門家と連携>

このように、当事務所では相続に関する諸手続きを総合的にお手伝いすることが出来ますので、ご遠慮なくどんなことでもご相談ください。

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